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ABC放送「必殺スペシャル新装マル秘必殺現代版」

解説

’82年の大晦日に放送した『マル秘 必殺現代版』に、新シリーズ『必殺仕事人?激闘編』メンバーの生中継を加えながら、再構成して放送した幻の特番です。何故幻かというと、生中継部分はともかく、二度と放送できないだろう内容だからです。

『主水の子孫が京都に現れた』のサブタイトルどおり、「ご先祖様が仕事人だった」という設定で話が始まります。
中村主水は先祖代々この名前で(本編の主水の義理の父(つまり、りつの父)も中村主水)保険会社の勧誘員をしています。カラオケ仲間の個人タクシー運転手長谷川加代、ピアノの調律師山田勇次、アクセサリー手作り販売村上秀夫とひょんなことから、お互いの先祖が仕事人で、しかもどうやら仲間同士だったことを知ります。ご先祖様に倣って仕事を仕掛けてみるが、大失敗。だけど運良く(?)相手は死んだのですが、お金も取れず、二度と殺しはしないことを誓います。(当たり前だ)
ある日主水は、保険加入をしてくれた個人商店主千田吾平の家を訪ねます。千田の家は喪中でした。暴走族に暴行を受けた娘が自殺、後を追って母親も死んでしまっていたのでした。様子がおかしい千田を気にして、加代たちに身辺を探るように主水は頼みます。
主水の懸念どおり、復讐を決行し、逆に殺されてしまう千田。主水たちは先の失敗も踏まえ、千田の恨みを晴らすために再び仕事に向かいます。

『仕事人VS暴走族』という事で、秀夫はバイクからバイクへ飛び移り、ご先祖様と同じくかんざしで(作り直してました)殺します。勇次は三味線をピアノ線に変えて同じ技で殺しを、主水は工事現場の標識の向きを変えて、次々と暴走族たちを崖からダイブさせていました。
暴走族を皆殺しにしちゃうんですよ?しかも最後は爆死させていました。現代ではとても放送できないと思われる内容です。
私的に、主水が勧誘に出向いたボディビルダーが西脇美智子だったことが非常にツボでした。(この人にとっては、香港映画に出るのと同じくくりかもしれない)当時「ボディビルダー界の聖子ちゃん」とか呼ばれていた彼女、ドラマに華を添える出演です。
そして、誰がカラオケを歌っても歌う曲が「冬の花」なのが、不自然もここまで徹底すれば寧ろ納得できるかもしれない気にさせられました。(劇中、森進一のモノマネで歌う三田村さんという、この当時にしては珍しいものも見られました。今ならなんとも思わないと思う)

ここを読む皆様方の関心は、本編の内容よりも合間に入る生中継の方だと思います。私も本放送中そうでした。
?終了から2ヶ月、待ちに待った新シリーズ開始前のお披露目的に放送されたこの特番。京本さんの怪我の具合はどうだろう?等気になることはたくさんあります。

まずは、新宿西口、歩道橋の上に佇む政の姿から番組は始まりました。『現代版』なので、?のメンバーも時代劇の扮装のままですが、現代に登場です。
女性連れのスーツ姿の男性を政が殺します。この時代の中年のおじさんは何だか異様に渋いですね。(TVだからだけど)
場所は変わって、京都八坂神社の鳥居の屋根の上に、2ヶ月ぶりでも全然変わらない(20年経っても変わらなかったんだから当たり前ですが)、組紐屋の竜の姿が。街を流れるネオンの灯りと京本さんの竜の扮装がミスマッチに溶け込んでいます。あまり違和感を覚えないのは、京都だからでしょうか?必殺ならではの遊び心が心憎いです。
主水さんは、大阪道頓堀をあの扮装で歩いた挙句、殺しまでして、パチンコ屋に消えて行きました。
続いて番組は、生中継に切り替わります。
大阪梅田コマ劇場、藤田まこと主演『東海林太郎物語』の楽屋から、司会の玉井孝、藤田まこと、山内としお、後から白木真理、笑福亭鶴瓶。
東京六本木の居酒屋からは菅井きん、村上弘明。これも後から、梅沢富美男。
京都円山公園「長楽館」から、鮎川いずみ、京本政樹。このメンバーで、本編の合間に登場するかたちで、番組は進みます。
生中継をすることに何の意味があったのか、今考えるとよく判らないのですが、とにかくナマですので、今の京本さんが見られるのは、当時としては嬉しかったです。
右手の人差し指を唇に当てて、ギターを抱える京本さんが「激闘編の主題歌、女は海の作詞作曲の大先生、京本政樹大先生でございます!」と鮎川さんに紹介されて登場です。
「ワタクシめが!!!先ほどご紹介にあずかりました!京本政樹大先生でございます!」
藤田親分に「大先生、怪我は大丈夫かい?」と聞かれて「バッチリです!ご心配お掛けしました!」と元気よく答える京本さんの姿に、ホッと安堵すると共に思わず耳を押さえてしまいました。声が大きいんですもの。元気に見せようと大きな声だったのだと思いますが。

これだけでは新シリーズのファンが納得しないと思ったのか、『夢の必殺』ということで、?のレギュラーメンバーの夢の必殺を披露してくれました。それぞれが夢に描くシチュエイションを披露する企画です。
村上氏は『密林の王者ターザン編』です。そのままです。今皆さんが脳裏に浮かんだそのままの事をやってくれました。もちろん雄叫びも上げています。
藤田親分が「キミずっとアフリカ行ってるかい?衣装なんか着ない方がいいよ」と言うと、「あー、そうですか。今度考えてみます」と真顔で答える村上さん。「ワイズミュラーを意識した」と仰ってましたが、ホントよくお似合いでした。
鮎川さんは『女賭博師編』です。西部劇っぽい設定で、バレエで鍛えた柔軟な体を駆使してのアクションシーンは、ちょっと格好良かったです。

さて、お待ちかねの、京本さんは『宇宙編』。「皆さん凄かったですね。でもボクのやつはもっと凄いですよ!」とご本人の仰る通り、凄過ぎます。その発想が。
地球とおぼしき星の近くで(何故か土星のようなものが見えるんですが)、宇宙服姿で構える竜。目の前を人工衛星が飛んで行きます。敵のそばにはシャトルがあり、そこへ向かって紐を投げる。敵は竜のそばを通り過ぎ、宇宙の闇に消えていきます。
宇宙空間とは?とかそういうこと以前に、竜さん、手が剥き出しなんですけど?いいんですかそれは。
「金魚蜂被ってたの?」と藤田さんに突っ込まれ、笑いながら「宇宙戦士竜!スターウォーズ真っ青でしょ?史上初で・・」
あっ、中継が切れました。
確かに真っ青だと私も思います。
藤田さんの夢の必殺は『北極物語編』。殺しのシーンは無く、りつと二人で姑のせんを北極に捨てるという、主水、長年の夢を見せてくれました。

番組の最後は、藤田親分が泣くほど聞きたかった、激闘編の主題歌「女は海」を鮎川さんが歌って終了です。
狛犬に寄りかかり腕を組んで、歌う鮎川さんを見つめる京本さんの真面目な目つきが、音楽に対して真剣な様子を垣間見た気がしました。怖い怖いと仰る鮎川さんの気持ちが判るような気がした一瞬でした。

個人的に、藤田まことの後ろの一番目立つところに、ばたやんこと、田端よしおからのお花が飾ってあったのが、最後まで気になって気になって仕方なかったです。何故ばたやん?
特番とはいえ、バラエティ色が強い番組なので、当時のビデオも持っている人は少なく、そう意味ではかなり貴重な番組です。もし、持っている方は永久保存をお勧めします。ドラマ本編すら、再放送はおろか、ビデオDVD化も期待できない番組だと思われますので。

文:桂

フジテレビ「笑っていいとも!」テレフォンショッキング

テレビ朝日「クイズなんでも一番館」

京都南座「納涼必殺まつり 新・必殺仕事人/琉球蛇皮線恨み節」

フジテレビ「3時のあなた」

松竹「必殺!ブラウン館の怪物たち」

秀・勇次コンビの大ブレイクと必殺!シリーズ放送600回を記念して製作され、仕事人シリーズ初の映画となった『必殺!』に続く映画化第二弾。
今回は仕事人シリーズの中でも、最もバラエティー色の濃いVの持ち味そのままに、松竹創業90周年、朝日放送設立35周年記念の看板の下、吉本興業の大スターを始めとする豪華ゲストをフルに活かし、主水たち仕事人が 怪しげな西洋屋敷で大暴れする姿を描いた、非常に娯楽度の高い楽しい作品になりました。

時は幕末、病に倒れた家茂の跡を継ぎ第十五代将軍・徳川慶喜が就任した頃。江戸・品川宿で大坂へと 密書を携えて向かう使者の警護を担当していた、中村主水ら南町奉行所の面々は、豪雨の中突如現れた何者かに 使者を殺され、密書を奪われてしまう。単身追いかけた主水は、下手人が今度は忍びと思われる者に 密書を奪われれるのを目撃。
同じ頃、政、加代、竜、順之助もそれぞれ襲われ、おりくのもとに逃げ込む羽目に陥る。「主水はどこだ?」 密書を奪ったのは主水だと思い込んだ、猿谷町の元締め率いる仕事人達と闘う政、竜、おりく達。
何とか逃げ延びた彼らは、それぞれ行方をくらました主水を追い、京へと向かう。
一方、主水は老中稲葉(平幹二郎)より上司の田中とともに、密書を取り戻す任を命じられ、京都・黒谷屋敷へと向かうことになる。
実は、黒谷屋敷は、帝を擁立しようとする敵に備え、帝もろとも御所を爆破するため、幕府が密かに施した仕掛けがあり、 密書の中身とは、その黒谷屋敷の権利書と絵図だった。

黒谷屋敷を巡る、京の仕事人一味と武器商人・ブラウン一派、新撰組の争いに巻き込まれていく主水たち。最初は難色を示していた主水も、 非道極まりないブラウンのやり方に仕事を受ける決意を固め、仲間とともに遂にブラウン館に乗り込む!?

のっけから仕事人仲間に狙われ、豪雨と稲光をバックに華麗な仕事のシーンで幕を開ける、という映画ならではの豪華な作りが満載の本作。
破天荒なストーリーだけでなく、キャストも映画ならではの豪華さが満載。
一部で必殺+吉本と評されたとおり、新撰組副長・土方歳三に西川のりお、剣の天才と謳われた薄幸の美剣士・沖田総司に明石家さんま、 という、掟破りの配役を皮切りに、京の元締め(実体は何と公家)・丑寅に笑福亭鶴瓶、 老中の密命を受け密書を狙う御公儀隠密に、森田健作、柏原芳恵。個性的すぎる黒谷屋敷の人々には、沖田浩之、兵頭ゆき、塩沢とき、高田純次等々強力な 個性が光るメンバーがズラリ。
他に前作に引き続きお葉役で登場の中井貴恵、ケント・ギルバート、時代劇の悪役といえばこの人!な金田龍之助ら今となっては懐かしい名前も。


全編コメディータッチで、お馴染みの中村家の今回は出張コントや、「インディージョーンズ」「蒲田行進曲」など当時大ヒットした映画のパロなど これでもか!というくらい楽しませる、ということに徹した作りはお見事。
お笑い部分に埋もれがちですが、もちろん必殺らしいシビアでハードな 面も忘れてはいません。
個人的に印象深いのは、ブラウン館での仕事を前に「坊、おめぇいくつになった」と順之助を諭しながら、 仕事人の何たるかを説くシーン。
”銭を貰って仕事をするから仕事人なんだ。(己の私情で動けば)ただの人殺しになってしまう”という主水の台詞に ハッとするとともに、普段は玉助やお新に振り回されてばかりの順之助が、初めて主水に一人前の 仕事人として認められた姿に胸が熱くなります。
また、中盤での黒谷屋敷での闘いでは、ずっと信じて守っていたモノに何の効力もない、と知り呆然とした思いのまま落ちていく黒谷屋敷の人々の姿が何ともやるせなく、 思わずじーんときてしまいます。

さて、この映画における京本さんの見どころは、というと登場するシーン全て、と言ってしまうくらい、 どれもお薦めですが、やはりテレビ以上に照明に工夫を凝らした”仕事”シーン、これに尽きます。
特に、クライマックスのブラウン館での特撮をふんだんに使った仕事シーンは必見。
スクリーンを所狭しと文字通り、走り、跳び、泳ぎ、華麗に舞う仕事人達の姿を様々なアングルと、 絶妙なライティングでたっぷり見せてくれます。

この映画の撮影中、右足かかとを陥没骨折する大怪我を負った京本さん。 幸い撮影の大半は済んでいたものの、残りの部分は怪我を押しての出演と なりました。当時のワイドショーで、椅子に座ったまま上半身のみを 撮影する様子が流れていましたが、シーンによっては極端に顔色が 悪い部分も見受けられ、想像を絶する苦労がしのばれます。
しかし、転んでもタダではおきない京本さんらしく、 当時番宣などで「(怪我で動きが取れない分)アップが増えた」と明るく話していたとおり、 特にクライマックスから終わりにかけて、かなりの確率でアップが見られます。
それに加え、仲間のピンチを心配そうに見守ったかと思えば、難なく敵を仕留める姿にほっと笑みを漏らしたり、 とクールで無口というイメージを覆す、かなり人間味溢れる姿も見せてます。 中盤では、煮え切らない主水に食ってかかったり、1人主水と抜け駆けしようとした 加代を懲らしめたり、となかなか熱い面も覗かせてくれるのも嬉しい限り。
もちろん、 もうひとつのお楽しみ。艶やかな衣装も、テレビでお馴染みのモノに加え、銀と紫のグラデーションを 施した表地に真っ赤な裏地、とたっぷり魅せてくれています。
また、動けない代わりではないですが、更に磨きがかかった上半身の動きも 見逃せません。ここしかない、というポイントを上手く使った手の動きの見事さには脱帽、もう惚れ惚れとしてしまいます。 効果音がなくても、その仕草だけであのシュッという、空を切る乾いた音が聞こえてきそうです。
更に威力を増した目力と合せて、これほどキレ味鋭い組紐捌きなら、2人乗りの自転車だって余裕で吊り上げられるかも!?、と 思わず納得 させられます。

その独特な色から、不謹慎だ、ふざけすぎると硬派な必殺!ファンからは不評を買うことが 多い本作品。しかし、笑いの中にも必殺!ならではの光と影の贅を尽くした見事な映像の数々を 盛り込み、必殺!らしい部分もしっかり収めたこと。そして、これだけの数の出演者全てに それぞれ見どころを与えた点など。それなりに評価されるべき部分も沢山あります。

笑いは元気の源、というとおりゲラゲラ笑ったり、時にはしんみりしながら、登場人物たちのパワーにも押され、 見終わった後何だか不思議な力が沸いてきます。
いつまでも胸の奥にしまって おきたい美しくてカッコ良すぎる竜さんと懐かしい仕事人達に会いに、時々無性に見たくなってしまう、 とても大事な1本です。

テレビ朝日系列「ABOBAゲーム」