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I Can’t Say…

ラブレーの15分

デビューアルバム。

映画『里見八犬伝』でのブレイクをきっかけにアイドル俳優としてレコードデビューが決まったが、これまでに書き溜めていたうちの数十曲をレコード会社に提出したところ、シンガーソングライターとしてアルバムデビューすることとなった。当時のキャッチフレーズは「美しい分だけ余計にワル/シンガーソングアクター京本政樹」

テレビ朝日「京都マル秘指令 ザ・新選組」

映画村でのサイン会最高動員数を記録

角川「里見八犬伝」

1983年12月10日公開の角川映画

スタッフ

製作:角川春樹
監督:深作欣二
脚本:鎌田敏夫 深作欣二

キャスト

静姫:薬師丸ひろ子
犬江親兵衛:真田広之
犬塚信乃:京本政樹
犬坂毛野:志穂美悦子
犬飼現八:大葉健二
犬田小文吾:苅谷俊介
犬川荘助:福原拓也
玉梓:夏木マリ

解説

「星よ、導きたまえ」と白く輝く弓を引く薬師丸ひろ子の姿が印象深く、あの当時TVコマーシャルで何度も目にした記憶があります。構想10年、制作費10億円、角川映画10周年として製作された映画です。

京本政樹という役者の存在を世間に広く認知させた、最初の映画作品でありました。

原作は、『南総里見八犬伝』江戸時代、1814年〜1842年まで28年かかって書かれた作品で、日本の古典文学でも最長を誇る、曲亭馬琴(滝沢馬琴)作の勧善懲悪伝奇物語です。

原作のあらすじは、安房の国の城主里見義実に悪女玉梓の怨霊が憑き、怨霊と因縁により義実の娘、伏姫と飼犬の八房との間に、「仁・義・礼・智・忠・信・孝・悌」の(儒教的道徳観を表す)八つの玉が生れます。

伏姫の死によりこの玉が八方に分散し、それぞれの玉を持って生まれた八人の八犬士たちが、苦難に出会いながら、互いに因縁の糸に引かれて出逢います。

それぞれの境遇や生前よりの因縁を知った八犬士たちは、里見家に忠義を尽くし、主君を守るために活躍するという、勧善懲悪、因果応報の理念に貫かれた物 語で、舞台は房州(今の千葉県の一部)を中心に、関八州から甲信越の一部にまで渡って展開するスケールの大きな作品です。

過去に何度も人形劇、映画など作品化されていますが、本作は鎌田敏夫が新たに書き下ろした、原作から更に発展した物語をベースに、薬師丸ひろ子、真田広之という若手スターを機軸に、斬新かつ大胆な超スペクタル青春感動巨編として仕上がっています。

本作の物語は、里見義実に蟇田定包の一族が滅ぼされ、その怨みが百年後に蘇り、定包の妻玉梓、その子蟇田素藤らがついに城を乗っ取るところから始まります。

危うく逃げ延びた里見成義の一人娘、静姫は里見家の再興を誓い、武蔵のおじ大田資正の元を目指します。執拗な追っ手を逃れ、霊玉を持つ八犬士の二人と出会い、里見家にまつわる因縁と自分の使命を知った静姫は、残りの犬士たちを探す決意をします。

やがて集まった光の八犬士たちは、闇の軍団、素藤、玉梓らに最後の戦いを挑み、彼らの城へと向かって行きます。

京本さんが演じたのは、他作品では主役の犬塚信乃役。信乃といえば、昔から二枚目の美剣士のイメージなのですが、京本さんの信乃は期待を裏切らない、これ以上は無いほどの美剣士ぶりで、当時アイドル雑誌などでも特集が組まれるほどでした。

信乃という名は女性名ですが、これは「女の子として育てると無事に育つ」とうい言伝えに従い、母親がつけたもので、成人するまで女装で過したりと、その意味でも、女性と見紛うばかりに美しい京本さんにはピッタリな役柄でした。

キャンペーン中の落馬事故により、怪我を押しての出演だった京本さん。そんな事情など露ほども感じさせない、文字通り体当たりの演技を披露してくれます。

出演者の大半がJACのメンバーという、アクションシーンにおいては不利な立場であるのに、持ち前のバイタリティで微塵の見劣りもせず、むしろその存在感を際立たせることに成功しています。

特に素晴しいのが、犬坂毛野役の志穂美悦子と戦う場面。お互いの宿命から、敵同士として出会ってしまった二人が戦うこのシーンは、日本のアクション女優 の第一人者、志穂美悦子を相手に互角に剣を揮い、納得できる仕上がりに見せるというのは、当時若手だった京本さんを思うと、非常な努力がいったこととお察 しします。

本作の華でもある二人が戦うという絵的にもオイシイこの場面は、美しい中にも哀愁が漂い、見る者に二人の置かれた哀しい境遇を感じさせました。

後に出演したトーク番組で、師匠大川橋蔵さんが衣装や鬘のデザインをして下さったと仰っていましたが、物語の世界観とマッチしたその出で立ちは、二枚目振りを引き立たせ、十二分に京本さんの魅力を引き立たせてくれました。

また、セリフの無いシーンでもこまいかい動きが美しく印象的で、前編に渡り京本さんが力を入れていたのだなと窺い知る事が出来ます。余談ですが、犬川荘助役の福原拓也君をさり気なく庇ったり誘導したりしているところが、個人的には見逃せませんでした。

悪女玉梓を演じた夏木マリ、妖之介を演じた萩原流行、船虫役のヨネヤマママコなど、敵役が個性的でその怪演ぶりも見所のひとつです。

当時の話題としては、人気絶頂だった主演の薬師丸ひろ子が初めてのラブシーンを演じるというのでかなり騒がれておりましたが、煽り文句の割にはおとなし めな印象がありました。このシーンよりも、夏木マリの血の池の入浴シーンの方がよほどエロティックな気がしたのですが、見終わってから思い返すと、逆にサ ワヤカさが出ていてよかったと思いました。それがメインじゃないのだし。

この映画は日本では勿論大ヒットしましたが、アジアでの人気も高く、本作に影響されたと思われるアジア映画もたくさん作られました。SFX部分はともか く、アクションシーンは水準が高く、評価も高かったようです。さすがJAC。またファンタジックなその内容から、欧米でも人気があり、アジア映画マニアの 間では要リスペクト作品として名前が挙がるほどらしいです。千葉真一が出演しているからかもしれませんが。

役者京本政樹を語る上では外せない本作品。申し分のない美剣士ぶりと、正統派二枚目役者の京本政樹を堪能できる貴重な作品です。

文:桂
絵:竜歌

皆様から寄せられた感想


真理さん
真理流、徒然八犬伝

今回のお題は「里見八犬伝」と言う事で・・・
お恥ずかしながら上記の作品は未見でして、今回が良い機会と思い早速DVDを借りて参りました。

「八犬伝」といえば、薬師丸ひろ子・真田広之で有名ですが既に御存じの通り、我らが京様も犬塚信乃役で登場しております。
素藤達の衣装(敵方)が魔界○生みたいです。ついでに言うなれば城の内部は特撮物カ○ンライダー等に激似。船虫という妖怪?が死んだときも溶けて人型の液体が残ってるし、その当時の作品だから妥当な所でしょうか。

物語は進み千葉真一登場, アクション物には欠かせない存在、相変わらず渋いです。
季節外れの桜が舞い散る中、待ちに待った京様登場!!竜だよ、前髪がまんま「組紐屋の竜」でした。そうかー竜の髪型の原点はここにあったのね。
この場面で「薄桜記」流れても違和感ないです。きりりと眉を上げた端正な凛々しい顔立ち、やっぱ若いわ〜〜初々しい感じが画面一杯バ〜ンと伝わって来ます。
立ち回りも凄い!千葉さんが出ているという事はJACでしょー、その方々と互角に演じているのですから、思わず「うゎ凄!!」と声が出ちゃいました。
声も迫力を出す為でしょうか、お腹の中から出ているって感じがして、いかに力を入れてこの信乃役を演じているかが伝わってきました。もしかしたら今の声の方が高いかもしれませんね、貫禄というか26年間の役者人生の成せる技でしょうか。

見逃しちゃって巻き戻した箇所があります。信乃が位牌に文字を書く為に斜め横の硯に筆を付けるシーンがあるのですが、その手元というか腕運びが実に優雅なんです。これから見るという方、一見の価値ありです。
後半になってしまいますが、八つの珠が揃った時に観音様?が現れて周りが光に包まれているのですが、信乃と毛野(志保美悦子)が激似、まるで双子といっても過言じゃないくらい似ています。私はそう感じました。と言う事は京様は女顔?違和感ありませんね。

最後には捕らわれた静姫(薬師丸)を助けに行って、敵と戦って次々命を落として行く八犬士達ですが、信乃もそうです。浜路(岡田奈々)を抱いたまま「もう 離れぬぞ、お前の望み通り処へでも行こう」という台詞のあと絶命してしまうのですが、ここは是非繰り返し見てほしい。心にジ〜ンときますよ。そんな事を言 われたら何処へでも行っちゃう!っていうか言ってほしい!!

最後はお決まりのお城の炎上と崩壊、その中手を取り合って逃げる静姫と親兵衛(真田)
祭壇の巨大な顔が転がって来るんだろうなーって思っていると、案の定転がって二人を追いかけています。期待通りの展開。

脚本、 監督が深作欣二というのも意外です。
現代のCGも無くワイヤーアクションを屈指している辺りはなかなか新鮮味があり、流石JACです。

2時間超えという長編ではありますが、角川映画全盛期の一作品として、楽しめるストーリーでした。
何よりも若かりし?京様にお会い出来るお勧めの1本ですね。
それにしても京様唇赤・・・でも全然違和感ないのはやはり京様だから・・・


水無月涼音さん
南総里見八犬伝。私が初めて京本さんを知ったのがこの映画でした。
この映画を見たのは、もう随分と昔のことで、私はまだ小学生でした。
その頃、調度滝沢馬琴や上田秋成にはまっていた(とは言っても、所詮児童書でしたが)私は映画で里見八犬伝をやると知って、どうしても観てみたくて両親に頼んで映画館まで連れて行ってもらいました。
映画館まで連れていっては貰ったものの、両親はホラー映画が好きではなく一人で観たのですが、初めて一人で観た映画という点でも、この映画はとても思い出深い作品です。
この映画はご存知の方も多いと思いますが、実際の八犬伝とは異なる、かなり斬新な解釈での八犬伝になっています。
なので馬琴の八犬伝を思い描いていた私は、まるでストーリーの異なる破天荒な物語りにかなり混乱しつつの鑑賞になってしまいましたが、その中で印象に残ったのが、京本さん演じる犬塚信乃と志穂見さん演じる犬坂毛野の美しさでした。
当時の私は京本さんを男優さんだと気付かず、女優さんが男装して演じているんだと思っていました。
ですから岡田奈々さん含め、凄い綺麗な女優さんが三人出ててね、中でも男装していた二人の女優さんが凄く綺麗で、とてもかっこよかったと、見終わった後で両親に話したことは、今ではいい思い出です。
この映画で一途に妹・浜路を思い、最期はその浜路と共に命を落とす薄幸の美剣士を京本さんが演じられていたこの映画は今でも思い出に残る作品の一つです が、京本さんのファンになって色々な裏話を伺ってからは、更に思入れの深い大切な作品になりました(>_<)


匿名希望
里見八犬伝といえば、記憶に微かに残る人形劇の残像。。。あれを角川映画でやるのか〜
JACがやるなら面白そうだけど、薬師丸ひろ子?どうなるの?と期待半分で見に行きました。
面白かった! v(°∇^*)⌒☆
時代劇特有の堅苦しさがまるで無く、子供でも理解できるストーリーの単純さ。
思考を停止させる程の力量で演じられた悪役たちの妖怪ぶりvv♪八犬士たちの清冽さ。
全てが絵巻物のような煌びやかさでした!
なかでも京本さん演じる犬塚信乃の美しさは、心に強烈に残りましたwww
夢見がちな乙女が心に描く男性像そのままで、綺麗で正義感が強くて、腕っ節も強くて。。。
こんな男の人がいたらなぁ。とあの当時乙女だった人は思ったはず!
真田さんのような、野性味溢れるワイルドな男の人もいいけれど、やはり夢見がちな乙女には、京本さんのような、男を感じさせない男がいいのです(*^o^*)


竜歌
当時はテレビで映画のCMが流れていたのを何となく見ていたくらいでした。
その頃はまだ仕事人の竜さんにも出会っていなかったので、京本政樹という人を知らず、後になってビデオを借りてみたとき、「あれ?確か似たような感じの女の人が二人いたはずなんだけど…」と思っていたのが、志穂美悦子さんと京本さんのツーショットだったという(爆)
過去にも里見八犬伝を題材にした映画はいくつかありましたが、美剣士「犬塚信乃」といえば京本さんを想像する方は多いのではないかと思いますね。
それくらいあのヴィジュアルはインパクトありました。
話全体としても結構面白くて、最後に親兵衛と静姫二人だけになってお墓を作ってる(みんなの声が聞こえてくる)シーンを見ると、今でも泣いてしまうのです^^;
京本さんや志穂美さんや千葉真一さんもかっこいいのですが、この作品、悪役もすごいんですよねー。
セットから衣装までどれをとっても大作という感じがします。今でも特撮技術を使った番組は少なくありませんが、まだCGが当たり前でなかったような時代に、これだけの特撮作品をよく作ったなぁ、と今見ても思います。


だんな
この映画がきっかけで京本さんがブレイクしたそうですが、わかります!とにかく美しいですもん!
私がこの映画を見たのは小学生の頃だったのですが、
信乃を演じる京本さんがあまりにも美しくて、女性だと思いこんでいました(爆)
桜の嵐の中の、舞を舞っているような美しい殺陣シーンが印象的です。
エッセイなどに書かれていますが、この時まさか背中の激痛と闘いながら演じていたなんて、
見ていても信じられない刀さばき。
学校でも大流行で、皆この映画の話で持ちきりでした。
あと、主題歌が大好きなんです。時代劇なのに英語っていうのが斬新で(~o~)


里見八犬伝 ブルーレイ [Blu-ray]

  • 販売元:角川書店( 2012-09-28 )
  • 時間:136 分
  • 1 枚組 ( Blu-ray )

里見八犬伝 デジタル・リマスター版 [DVD]

  • 販売元:角川書店( 2011-06-24 )
  • 時間:136 分
  • 1 枚組 ( DVD )

大映「雪華葬刺し」

1982年11月27日公開の角川映画

スタッフ

監督:高林陽一
原作:赤江瀑
脚本:桂千穂
撮影:藤井秀男

キャスト

若山富三郎
京本政樹
宇都宮雅代 他

sekka

解説

雪華葬刺(せっかとむらいざし)。京都を舞台に彫り物に魅せられた男女の哀しい物語描いたこの作品は、全編美しくも幻想的な映像で彩られ、カンヌ映画祭に『IREZUMI』のタイトルで 出品され、高い評価を得ました。
原作は赤江瀑の短編集『青帝の鉾』(文春文庫 現在は絶版)に収録された同名小説。
京本さんの公式映画デビュー作品としても知られ、数年後に大ブレイクを 果たした折にはテレビ放映やリバイバル上映された地域もあり、また、近年でも深夜枠にひっそりテレビ放映されたりと、古い作品ながら未だに根強い需要がある作品です。

茜(宇都宮雅代)は夫の藤江田(滝田裕介)とともに京都行きの車中にいた。5年ぶりの京都に思いを馳せる彼女の脳裏に浮かぶ1人の影。
かつて彼女は、上司であり恋人でもあった藤江田のたっての願いにより、 その雪のように美しい背中に刺青を背負うことになった。彼女の背に墨を入れたのは日本一の彫り物師と謳われた大和経五郎(若山富三郎)。とある事情から20年来、その筆を折っていた経五郎だったが、 藤江田が予言したように、茜の美しい肌に魅せられ再び筆を執ることを決心する。墨入れを始めるにあたり、彼は茜に自分の流儀は特異なものである故、何が起きても逃げ出さないよう覚悟してほしいと頼む。 訝しむ茜の前、彫経(ほりきょう)の弟子だという春経(京本政樹)が現れ、それと同時に始まった経五郎の流儀とは・・、凡そ常軌を逸した想像を絶するものだった。


ごく僅かな登場人物によって綴られる、1人の彫り物師を巡る壮絶な物語。狂おしいほどに刺青という世界に魅せられてしまった、男の悲しくも激しい生き様とそれに振り回される形となってしまった 彼にまつわる人々の哀しさに胸を打たれます。
話としては重く苦しい内容でありながら、冒頭のタイトルバックで降りしきる雪が象徴するように、激しさの中に儚くも幻想的な 美しさが漂う作品です。
現在から過去、そしてまた現在へと時間軸が目まぐるしく変動するこの作品は、幻想的な映像の美しさと過去部分での極端に少ない台詞による、静かな、 しかし狂おしくも激しい描写に引き込まれる内、 いつしか時間の存在を忘れ、突然引き戻される現在の世界での出来事に、それが過去の話であったことを思い出させる、という不思議な感覚を呼び起こしてくれます。
また、随所に見られる京都の町並み・経五郎の自宅近辺の佇まいの美しさは、当時の京都の面影を伝えてくれる貴重なシーンであるとともに、月日の流れの速さ・残酷さを思い知らされます。

さて、この作品で京本さんが演じたのは、主要登場人物の1人である春経。憂いを含んだ表情が印象的な、それでいて瑞々しい若さがほとばしる青年です。
作品の性質上、褌姿やほぼヌードでの登場場面が多く、ファンとしてはどぎまぎさせられる部分も多々ありますが、同じ女性として目を見張る宇都宮雅代さん にも負けない肌の美しさには、ただただ目を奪われます。
出番が多く、見どころはたくさんですが、特に茜との絡みのシーンでの、表情でも声でもなく腕の動作だけで様々な感情を表現するくだりは必見。 かなり際どい描写にも関わらず、決して下品にならず、純粋に美しいと思わせてしまう魅力は、いけないと思いつつかなり嵌ります。茜の艶やかで歓喜に満ち溢れた表情と合わせて必見です。

また、憂いに満ちた表情があるかと思えば、後半では目の覚めるような晴れやかな眩しい笑顔が拝めたり、子供のような仕草も見られたり、と表情・仕草など色んな 面で見どころいっぱいです。個人的には、経五郎の家の前で伸びているシーンの足の開き方の愛くるしさがたまりません。コンバースのスニーカーがよく似合い、 一途で無鉄砲な少年ぶりが窺えて、それに続くご飯をかき込むシーンとともに、重苦しいこの映画の中で唯一微笑ましく、ホッとさせられるシーンです。
他には隠し彫りをする場面での『雪華です』という声音の響きの心地よさもかなりお薦めです。この時の筆を持つ手つきも、彫り師見習いとして道具を大事にする 心持が伝わってくるようで見逃せません。

そして、キーワードでもある雪華。この作品で初めてその存在を知りましたが、雪国在住の身ではあまり嬉しくないものでもある”雪”に こんな美しい面があるのか、ということを改めて教えてもらいました。

近年自身の着物ブランドを立ち上げた京本さん。そのブランド名は”雪華”。八犬伝や仕事人とは違った意味で、ご自身もきっと思い入れのある作品なのかな、と思わせる 選定でした。
なかなか一口で語るのは難しい作品ですが、名優・若山富三郎氏の熱気溢れる演技を始め、初々しい京本さんの見どころ・魅力がたっぷりつまった、 数年後の『オイディプスの刃』ともども、改めて赤江世界を体現できる貴重な役者であることを実感させてくれる1本です。

文:紫苑
絵:藤枝

雪華葬刺し [DVD]

  • 販売元:角川書店( 2012-10-26 )
  • 時間:102 分
  • 1 枚組 ( DVD )