俳優・シンガーソングライター京本政樹ファンサイト

テレビ朝日「ニュースステーション」

フジテレビ・月曜ドラマランド「ねらわれた学園」

1987年1月26日に月曜ドラマランドで放送されたテレビドラマ

スタッフ

演出:萩原鐵太郎
原作:眉村卓
脚本:奥村俊雄
プロデューサー:上木則安、森田要

キャスト

新田恵利、京本政樹
藤代美奈子、津川俊之
結城美栄子、榊原旭

解説

月曜ドラマランドという番組枠で放映された、眉村卓の同名小説のドラマです。
映画化もされているこの作品は、超能力を題材とした学園SFモノと言ってもいいかと思います。

この話は新田恵利演じる女子高生、楠本和美が通う学園に転校してきて生徒会長となった、高見沢みちるの超能力による高圧的な支配と、それに抵抗する楠本かずみとその幼馴染、関耕児ら、友人の活躍が物語の主軸となっています。
普通の平凡な少女だった楠本和美は幼馴染である関耕児への恋心の為か、あるいは自身や身近な者を危難から守ろうとする防衛本能の為か、芽生えた超能力によって、やはり超能力者である高見沢と対峙し、最終的にはそれを退け、平和な学生生活を取り戻す所で物語は終わります。

この作品で京本氏は、高見沢を操り、学園の支配を企む、京極博士を演じています。

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京極博士は実は現代文明の行く末を憂え、未来を守る為に現代文明を変えようと未来文明からやってきた未来人なのですが、その深い憂慮を抱える京極博士を、京本氏が憂いを湛えた表情で演じています。
現代に生きる人間に残酷なほどに冷酷な態度で接する京極博士ですが、その冷ややかな態度の裏には未来文明への 危惧と、現代の人間への深刻な絶望が潜んでいるように思えます。
人工的に見えるほど色白のメイクを施している京本氏が整っている顔立ちだけに、どこか非人間的な美しさを醸し出していて、その儚げにも映る繊細な外見と共に、京極が未来人という非現実的な設定にリアリティを与えてくれているように思えます。
超能力を使っている場面など、当時の映像技術の為、子供だましな感を拭えませんが、現代文明が未来に及ぼす危惧は今も繰り返し題材とする作品も多く、考えさせられる部分も多くあるように思える作品です。

文:水無月涼音

「小野万・一本造りCM」2バージョン

「東京ビューティセンターCM」ナレーション

日本テレビ「ごちそうさま」

フジテレビ「欽ドン!ハッケヨーイ笑った!」

日本テレビ「なんて素敵にジャパネスク」

1986年12月27日放送

キャスト

瑠璃姫:富田靖子
高彬:木村一八
鷹男の帝:仲村トオル
融:西川弘志
吉野の君:京本政樹
権少将:佐藤B作
藤宮:かとうかずこ
大海入道:伊東四朗
瑠璃姫の父:石坂浩二

解説

氷室冴子の同名人気小説をドラマ化。平安朝を舞台に結婚を渋る大納言忠宗(石坂浩二)の娘・瑠璃姫(富田靖子)の輿入れを巡るドタバタを描いたラブ・コメディー。
16歳となるというのに「結婚なんて真っ平」と公言する瑠璃は、ある日何とかそんな娘を結婚させようと頭を痛める父の差し金で、プレイボーイと名高い権少将(佐藤B作)とお見合いすることに。 しかし、全く気乗りしない瑠璃は幼馴染である、衛門左・高彬(木村一八)に助けを求める。渋る高彬だったが、夜這いをしかけてきた少将から姫を守るため、うっかり瑠璃と自分は将来を誓い合った仲だと 発言したからさぁ大変。一気に2人の結婚話がもちあがり、むくれる瑠璃をよそに、盛り上がる周囲。そこに今度は東宮(仲村トオル)失脚を企む
大海入道(伊東四郎)の陰謀が絡んできて……。

平安時代ならではの雅な調べと冒頭の”誰が何と言おうと時は平安朝である”とのテロップが象徴するように、全編お気楽ムードが漂うこのドラマ。「おととい きやがれ」など斬新な台詞で一見新春スターかくし芸大会的なノリの中にも、意外ときちんとしたストーリーで随所に当時の女性の本音 がチラリと見え隠れするかなり楽しい逸品です。京本さんはもちろん、主演の富田さん、木村さんetc.当時の人気者が顔を揃えたことに加え、父親役で出演 された石坂浩二さん自らが演出を担当され、当時かなりの話題となりました。

この作品で京本さんが演じたのは、美形で腕が立つらしい謎の男「?」。実は名前がありません(笑)。
瑠璃姫が幼い頃に想いを寄せ合った通称・吉野の君。幼き日の思いの証として、吉野にしか咲かない幻の花”よしのむらさき”を押し花にして今も大事に持つ瑠璃姫。ひょんなことから忍び込んだ入道の屋敷で、 とうに死んだと思っていた吉野の君が生きていることを知り、高彬との間で揺れるというかなり美味しい状況に。

このドラマに於ける吉野の君の出番、実は総計しても5分足らずなのですが、インパクトの強さとため息がでるほどの美しさだけは折り紙 つきです!何しろ沢山あるようで意外と(?)貴重な総髪スタイルを拝めるのですから。これだけで、出番の少なさはカバーできるかも!?(笑)。
最初の登場となる、蹴鞠を見物するシーンでは、しっとりと降ろした長い黒髪を後ろでゆるく束ね、白い小模様をあしらった薄青の礼服でひっそりと居ずまいを正す姿は、そのまま雛壇に飾っておきたくなるほど(笑)。
次の登場となる、入道の屋敷で東宮への陰謀を企てる場面では、今度は総髪のまま、はらりと肩にかかる黒髪と物憂げな表情が、何ともいえない艶っぽさ。ほんのり、組紐屋の竜を彷彿とさせる表情もあったりして、これもまた嬉しい見どころです。
更に最後の瑠璃姫の想像(妄想?)の中、「瑠璃姫」と甘く優しい口調で手を差し出す笑顔の眩しさもたまりません。出番極小にもかかわらず、一度見たが最後、艶姿が目に焼きつき、思わずぽーっとなってしまうのは、やはり京本さんならではの魔力でしょうか。

しかし、この吉野の君。入道の協力者に見えて、いざ入道が計画を実行する場ではいなかったりと、悪者なのか、そうでないのか、あまりにも登場が少なく、最後の最後までよくわからない謎の麗人でした。
当初は、続編を作る話もあったため、その辺はもしかしたら、次回への伏線だったのかもと思うと、ホントに1話限りであったことが悔やまれます。

文:紫苑

ニュースステーション

フジテレビ「おニャン子捕り物帳・謎の村雨城」

「月曜ドラマランド」で1986年12月8日に放送されたコメディ時代劇。

キャスト

城之内早苗、京本政樹
渡辺満里奈、牟田悌三
おニャン子クラブ

解説

任天堂がファミコンのディスクシステム用ゲームとして1986年4月に発売した「謎の村雨城」。
こちらをフジテレビが、当時大ブームだったおニャン子クラブの面々をメインに、あの月曜ドラマランド枠でドラマ化。城之内早苗、渡辺満里奈、国生さゆりら当時の大アイドル・おニャン子スターが出演!ということでかなり話題になりました。
一応タイトルには”捕物帳”とはあるものの、時代劇なのに、何故かパジャマやコーヒー、自転車、電話までもが使われていたり、刀にフェンシングで立ち向かうわ、冒頭は殆どおニャン子クラブの面々による大運動会という、月曜ドラマランド枠らしい、荒唐無稽で大変楽しい超娯楽作品です。

岡っ引の一人娘・加代(城之内早苗)は、江戸にはびこる盗賊一味、紅蜘蛛を追って負傷した父の代わりに目明しになることを決意。早速、紅蜘蛛と対決するもたちまち窮地に。そこに現れた1人の白馬に跨る騎士ならぬ 白覆面の男、人呼んで『白頭巾』。あっという間に一味を撃退した彼の虜になるお加代。その白頭巾が突き止めたところでは、どうやら紅蜘蛛の背後には一色藩の陰謀が隠されているらしい。しかも、今回の陰謀に絡み一色藩では、一人娘の雪姫が行方不明となっているという。一体、白頭巾とは何者なのか?そして、加代たちは無事、姫を救い出すことができるのか……。

この作品で京本さんが演じたのは、加代の隣に住む浪人・清吉。いつもぶらぶら何もせず、ただ飯ばかり食べているというダメ男。父に代わって十手を預かる加代に渋々ながら協力しつつも、肝心な場面では姿を消してしまう清吉。しかし、そんな彼が実はあの加代が惚れた白頭巾こと一色藩の藩士・伊賀の鷹丸だった!

ということで、前半では前髪のある着流し姿で、あの魚屋・善太や大江戸の新さんを彷彿とさせる、お調子者な飄々としたキャラクターと、白馬に跨っては突然現れ、決めまくって去っていく謎の白頭巾、という凛々しい姿の両極端な面を楽しむことができます。
そして、自らの正体を明かした後半では、なななんと全身白装束の上に真っ赤な羽織の麗しいポニーテール姿で登場!というまさにファン落涙ものの姿で立ち回る、という美味しすぎる展開に。
あの独特のメイクに高々と結い上げたポニーテール姿が本当によくお似合いです。 随所で見られるさりげない流し目や憂い顔の美しさには、クラクラ、ドキッとすること間違いなしです。この際、この姿が見られれば少々の話のめちゃくちゃさ加減は気にならないというもの(笑)。
更にかなり娯楽色が強いながらも、何気に多い立ち回りなど意外としっかりとした見どころがいっぱいです。 また、後半の雪姫救出のくだりでは、ゲームさながらの仕掛けで、テレビを見ながらゲームに参加している、かのような楽しさを味わうことができます。

ドラマでありながら、究極のバラエティー!な「謎の村雨城」。
これぞ美剣士!な京本さんが拝見できる嬉しさはもちろん、不況で何かと暗いニュースが続く昨今、ちっくだらない、なんて言わずにまた、こういう心の底から笑える楽しい作品を見たいものです。

文:紫苑
絵:だんな

日生劇場「キネマの天地」

1986年12月5日〜27日に上演された舞台。

スタッフ

原作:山田洋次 山田太一 朝間義隆 井上ひさし
作・演出:井上ひさし
製作:松竹

キャスト

京本政樹
斎藤とも子
夏木マリ 加賀まりこ
光本采雉子(幸子)
佐藤慶 小澤栄太郎

解説

京本さん、初の主演現代劇となった作品です。
『キネマの天地』といえば、同名の映画のほうが有名ですが、私は映画のほうは未見なので違いがよく判りません。ですが「料理天国」にご出演の際に、京本さんが 「映画をそのままと思われると、かなり違いましてね。監督の(映画版ではすま・けいが演じた)家の中の喜劇」と仰ってました。

映画原作者の一人でもある井上ひさしが、作演出を手がけるだけあって、脇を固める役者さんたちも、豪華でベテラン揃いです。
日本映画を代表する大スター、蒲田の大幹部女優、立花かず子に加賀まりこ、母物映画の大スター、日本のお母さん、徳川駒子に光本采雉子、妖艶なヴァンプ役人気?1蒲田幹部女優、滝沢菊江に夏木マリ、 純情可憐な若手スター、大森の夜鳴き娘、田中小春に斉藤とも子。

超特作の超大作、出来る前から奇蹟的傑作を撮影直前の映画監督、小倉虎吉郎に佐藤慶、万年下積みの売れない役者、尾上竹之助に小沢栄太郎、我らの京本さんは東京帝大法学部出の若き助監督、島田健二郎役でした。
加賀まりこさん曰く「台本が後30ページ出来てない」そうで(プロモーションで出演したニュースステーション金曜版にて)、初日まで、幕が開くのかさぞハラハラしたことでしょう。脚本家以外の方々は。 初主演でその状況ではさぞかし気を揉んだのでは?と思いましたが、本番のイキイキとした演じぶりは、そんな事情を微塵も感じさせないものでした。

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物語は、女優4人が小倉監督の新作映画「諏訪峠」の打ち合わせに、築地東京劇場に呼び集められたところから始まります。「諏訪峠」をエサに1年前の舞台「豚草物語」の再演を持ちかけられた4人の女優。1年前、「豚草物語」の舞台稽古の最中に小倉監督の妻である、女優松井チエ子が頓死した。松井チエ子の日記帳には「私はK・Tに殺される」と綴ってあったという。K・Tとは、チエ子殺しの犯人は誰か?

舞台開始のベルが鳴り、口から心臓が飛び出るほどドキドキしていると、舞台上のライトに明かりがともります。動く人影に目を移すと、その人こそ京本さんでした!あまりに早い出番に、油断していた私の心臓は、体の構造が許してくれるなら本当に飛び出たことでしょう。開始間もなかったので、何となくざわめいていた客席も、水を打ったように静かになりました。
出てきただけでこの注目度。舞台俳優として、これほど強い武器を持っている人もあまりいないだろうと思われます。

私なんぞが言うのもおこがましい気がしますが、初主演現代劇という事で、非常に初々しい京本さんの演技が印象的でした。舞台上を必死で駆け回り、舞台のベテランの方々に喰い付いていく姿は、後のご活躍を想像させるものがありました。
体中から一生懸命さが滲み出ていて、見ている私まで背筋の伸びる思いで、その姿にどんどんと引き込まれるようにお話の中に入っていきました。あれだけの芸達者な人たちの中にあって、その存在感の強さと動きの美しさは、流石時代劇出身の京本さんだなと、何故か、いつも目が追ってしまいます。

売れない役者の竹之助の姿に役者の素晴しさを教えられ、反目しあっていた女優達が次第に仲良くなっていく所は、笑いの中にも深い感動と涙を覚えました。人間を見詰める、作者井上ひさしの優しい目線に素直に感動しました。
チエ子殺しの犯人がいる。というのは、実は監督と島田と竹之助が仕組んだお芝居で(チエ子の死因は心臓麻痺)、4人の女優たちに「一個の役者、一個の人間にかえって、仲よく共演しなさい」というお題目を教えるための女優教育劇だったのでした。

出すぎてはいけない(助監督役ですから)、控えめすぎても残らない、4人の女優をコントロールしながら、物語を繋いでいく(結構)難しい役どころだったと思います。
ニ幕という長丁場、ほぼ出ずっぱりの京本さん。幕が下りてカーテンコールの、爽やかな笑顔と達成感に満ちた表情が忘れられません。
また、気さくにファンの方々からの花束を受け取り握手される姿は、今と変わらぬ、ファンに優しい京本さんがそこにいました。

20年近く前の作品ですが、あの日あの劇場で見たもの感じたモノは、私の中では生涯忘れられない、幸福な夢のような時間でした。客席からの惜しみない拍手の音が、今も耳に残って離れません。
素敵な思い出を、ありがとうございました。

文:桂
絵:だんな