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テレビ朝日「法医・歯科学の女(1)」

1997年1月25日にテレビ朝日、土曜ワイド劇場で放送された2時間サスペンスドラマ

スタッフ

監督:岡本弘
脚本:田中ひろみ
医学監修:山本勝一、船木穀

キャスト

一ノ瀬美里:中村あずさ
木戸勇太:鶴見辰吾
五十嵐良吉:下川辰平
村松:小泉博
西島慎司:京本政樹
ほか

解説

急激な医学の進歩とともにマスメディアでも大きく取り上げられるようになった法医学(Forensics Medicine)。 テレビドラマの世界でも1992年に連続ドラマとしてスタートし、現在は2時間ドラマとして定着した「法医学教室の事件ファイル」シリーズを始めとして、 90年代以降法医学を題材とした作品が数多く放送されています。
今回の作品はそんな法医学の中でも特に歯科学にスポットを当てたシリーズとして、中村あずさ主演でテレビ朝日と大映テレビが共同製作、土曜ワイド劇場にて 1999年まで3本(うち3作目は主演が有森也実に交代)が放送されました。

一ノ瀬美里(中村あずさ)は、東郷大学で歯科学の権威である村松教(小泉博)の助手をつとめる傍ら、横浜にある船木歯科に歯科医として勤務する日々を送っていた。
ある日、1993年にユネスコの世界遺産にも登録された鹿児島県・屋久島の屋久杉ランドで観光客が白骨化した頭がい骨を発見。周囲に胴体はなくバラバラ殺人事件として 捜査を開始した鹿児島県警係長・木戸勇太(鶴見辰吾)は、鑑定を依頼するため村松のもとを訪れる。多忙な村松に代わり、美里が木戸と同行し屋久島へと飛ぶことに。 美里の鑑定により、被害者は50歳前後の男性、死後半年近くが経過しているとの情報を得た警察は捜査を開始、ほどなくして半年前に失踪したホテル室井の社長・室井泰三(黒部進)と判明。 身元確認のため、警察を訪れた娘の咲子(菊地あけみ)は、犯人は後妻のかおり(未來貴子)であると断言。通夜の席でかおりと不倫関係にあると噂される西島慎司(京本政樹)と共謀しての犯行 だとかおりをなじる現場に遭遇した木戸と美里は、早速捜査を開始。 捜査のため訪れたホテル室井で、美里は大学時代の友人有加(鳥越まり)と偶然再会する。有加はホテルの副支配人である守口幹也(石田登星)と結婚し、自身も同じホテルで働きながら幸せな 生活を送っていた。

咲子や周囲から疑惑の目を向けられているかおりに事件とのつながりを問うが、かおりは西嶋とはもとより無関係であり、それよりも夫の義理の妹であり、ホテルの仲居頭でもある富永妙子(あいはら友子) が怪しい、深夜に何かを探していたと証言。
果たしてかおりの証言どおりスコップを手に現れた妙子が掘っていた場所を捜索してみると、行方不明だった胴体が発見された。五十嵐(下川辰平)の追及に妙子は、西島が社長の失踪当初「空地に埋められてるかも」と 冗談めかして言っていたと証言。西島を監視するも決定的な証拠がなく、歯がゆい思いをしていた矢先、木戸の追跡を振り切った西島が失踪。それと同時に鹿児島市内で焼け焦げた身元不明の男性の死体が発見される事態が 発生。美里の鑑定により、死体は守口幹也のものと判明するが……。


この作品で京本さんが演じたのは、あらすじにも登場する西島慎司。ホテルが経営するテニススクールのコーチとして、守口とともに社長に可愛がられていた美青年。
白に青と紫、黒のラインが入ったテニスウェアに身を包み、優しい仕草で女性たちにテニスを教える姿は、まさに高校教師(’93)の藤村先生そのもの。 そんな当時の京本さんに強烈につきまとったイメージをそのまま利用した設定は、彼の男性陣からの評判にも現れ、木戸には「どうも気障でいけすかないヤツ」とまで言われてしまうヒトこまも。
大江戸捜査網で長く共演した中村あずささんの主演シリーズの第一作目ということで友情出演した京本さん。設定は2時間ドラマにおける京本政樹のイメージその2(さんざん犯人と見せかけて、実は犯人を影でゆすり 殺されてしまう)ですが、そのおかげで友情出演ながら出番はそれなりにあるのが嬉しい点です。
ほんの少しですが、テニスをするシーンもあったり、これまたほんの数シーンですがジーンズというドラマでは珍しい姿も見せてくれます。
登場するほとんどすべての場面で期待どおりの怪しさを振りまいてくれるのはさすが。一方でふとした時に見せる横顔の美しさも見逃せません。特に、最初の登場シーンである咲子になじられた際に見せる、無表情な 横顔は絶品。また、密かな見どころとしては、川べりでかおりと接触した後に小走りに去っていくシーン。じゃぁという風にポンポンと肩を叩く仕草はお馴染みの光景ですが、その直後にたたたたたという形容がまんま当てはまる感じに右手をぎゅっと握って走って行く姿が 何だかやけに可愛く、思わず頬が緩んでしまいます。

京本さん以外では影の事件解決の立役者である、元警察犬の太郎の愛らしさも必見、彼の多彩な表情、仕種に癒されます。
京本ファンとしては、ちょっぴり楽しくない部分もありますが、物語全体としては、歯科学により色んな事柄が判明していく様が丁寧描かれ興味をかき立てられるとともに、どんでん返し的な展開で最後まで楽しめます。 途中、歯科学の視点から語られる西島の特徴については、思わず京本さんの写真を確認してしまうこと必至かも。

文:紫苑

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