スタッフ
原作:西村京太郎「内房線で出会った女 さざなみ7号」脚本:安本莞二
監督:国原俊明
キャスト
由紀:沢田亜矢子田中豊:京本政樹
早乙女愛
ほか
解説
ドラマを観ながら「ああ、こういう事ってあるらしいねぇ・・・。」と、気付いたら独り言を言っていました。
生意気な子供だった私は、大人達が不満を語り合っている休日ワイドショーなどから「へぇー」と思ったり、現在に至っても友人の不満を聴いて「うーん・・・」と悩んだり。
この作品の冒頭は、結婚を間近に迎えた田中豊(京本政樹)と、由紀(沢田亜矢子)の喧嘩で始まりました。
弁護士のゆきは「夫婦一緒に家事や子育てする時代なのよ!」と言い張るキャリアウーマン。豊は「弁護士をずっと続けるのか!俺だって会社で大変なんだ!」と言い張る亭主関白な男。どちらの意見も分かるけれど、大変ですよねー、こういう言い争いって。
次の日、出勤途中の豊(京本政樹)が駅の旅広告を見て一日だけ蒸発を決め、南房総へ向かうさざなみ7号に乗る。
その車内で、「変な男に付きまとわれているから親しそうにして」と隣に座る胸元に大きなあざのある女性に遭遇。
お互い自己紹介をして、女性は名前を告げ、豊は名刺を渡す。そのまま2人は館山へ到着し、行動を共にする事に。 食堂へ寄り、シーワールドでイルカを観て気晴らしをする2人。
するとイルカに夢中になっていた豊がいつの間にか女性がいなくなっている事に気付く。
女性を探し廻り、終いには駅まで行った所、何故かパトカーが何台も止まっている。取り合えず駅に向かう豊。
すると色々な人に職務質問をしていた警察が豊にも近寄り、身分を証明したとたん、警察署への同行を求められる。
シーワールドの傍で女性の変死体があったらしく、その手には豊の袖ボタンが握りしめてあり、更に遺留品のバックには豊の名刺が入っている。
極めつけは豊の頬にある、作ったばかりの切り傷・・。同行を求められて当然な状況です。
その後、豊は死体安置所へ案内され被害者の確認をするが、電車で知り合った女性とは顔が違う。
必死で別人だと訴える豊。が、現場証拠もあり、何より真新しい顔の傷が決定付ける。
豊は弁護士に婚約者由紀を選ぶが、調査を始めてもなかなか決定的に無実を証明出来る物が見出せない。
はたして事件の行方は?
西村京太郎サスペンスなだけに、電車トリックや、あの人は誰なのか、この先どうなるの?と、目が離せません。
婚約者のゆきも必死で無実を見つけようとかなり無茶な事をしたりします。
拘置所にいる豊と由紀の会話で、「裁判にしてもいいよ、君の熱弁を聞いてみたい」「そんなこと言わないでよ、被告人に立つあなたなんか見たくない!」の様な短い会話がありました。
このシーンで、好き同志の二人の関係ってこうよねって思いました。冒頭であれだけ喧嘩をして破局寸前だった二人が、極地に立った時、助けたいと思う方と、仕事を認めたいと思う方。 思いやりと言うか、信じている者同志でなければ耐えられないと思いました。その絆を感じると泣けてきます。
ストーリーは、複雑で思わぬ展開に。え?え?です。もうとても説明しきれません。2時間全てが動いているので。
京本さんの最期の台詞、「最期に笑うのは・・・・・」ぞっとしました。人間って、本当に怖い生き物なのだなと。
京本さんは言葉・台詞の間、やーっぱり流石です。
切羽詰まって話そうとする人の状態なども、見ている側に違和感なくスッと入れてくれます。
捕まっている状況で親しい人と話している所等も、誠に臨場感を感じました。
だからどうしても観ていて「こんなに優しい顔した人は罪犯さないよ!」と祈ってしまいます。
話は変わって、婚約者が捜査している間に何度も出てきた京本さんの写真、かっこ良すぎです。
個人的に欲しいです。というか、この作品の京本さん自体がファンには罪ですよ〜。
文:万奈美