俳優・シンガーソングライター京本政樹ファンサイト

NHK「深く潜れ〜八犬伝2001〜」

スタッフ

脚本:神山由美子、藤本匡介
演出:大友啓史、海辺潔

キャスト

井上香美:鈴木あみ
阿保 朋子:小西真奈美
及川正人:千原浩史
及川昭人:千原靖史
小田一:テリー伊藤
小泉:京本政樹(ゲスト出演)

解説

当時人気絶頂だった鈴木あみを主演にNHKがドラマDEモード(2000〜2001年度に渡り、総合テレビ毎週火曜23時〜23時45分枠に放送した連続ドラマシリーズ)第四弾として 製作。2000年10月3日〜12月12日まで全10回の作品として放送されました。今やドラマや映画、CMにと引っ張りだこな小西真奈美が「3年B組金八先生(第5シリーズ)」以来、初のドラマ本格出演作として、 また、現在は上陸禁止である長崎の端島、通称軍艦島でロケが行われたことでも知られる作品です。

井上香美(鈴木あみ)はソフトボール部に所属するごく平凡な女子高生。そんな彼女がクラスメイトのアボこと阿保朋子(小西真奈美)から 「私とあんたは恋人同士だったんだよ。前世で」という思いがけない告白を受ける。
その後、夢でアボと手を取り合う自分の姿を見た香美は、次第にそれまでの仲間から離れアボとの時間を大切にするようになる。

それから2年後の夏。女子大生となった2人は、それぞれの前世を確かめるため謎のセラピスト 小田 一(テリー伊藤)に誘われ、前世を確認する無人島ツアーに参加することになる。
ツアーの参加者は彼女たちを含め7人。 助手の正人(千原浩史)とその兄で引きこもりの元商社マン・昭人(千原靖史)。 死んだ祖父の幻影に怯える孤独な少年・翼(明石亮太朗)、幼児期に折檻されたトラウマを持つ妊婦・弥生(猫田直)。 暴力癖のある彼氏と別れられない祥子(天田貴子)。
彼ら7人は小田によれば固い絆と使命で結ばれた「ソウルメイト」であり、誰か1人でも欠けると覚醒できなくなる、との 言葉に衝撃を受ける。 些細なことからいさかいを起こしたりしながらも、次々と自身の前世を見ることで「覚醒」していく仲間たち。
そんな中、香美とアボだけが未だ覚醒できずにいた。

やがて2人に覚醒が訪れないまま、帰りの時が来るがアボの姿が見えないことから、香美も島に残る決意をする。 しかし探せどアボは見つからず、真っ暗闇の中アボの幻と対話するうち、アボに依存している自身に気づく香美。

その後、東京へと戻った香美は仲間と馴染めず次第に疎外感を深めていく。一方、前世に固執する香美に不安を抱く母・真理子(高橋惠子) は、興信所に香美の身辺調査を依頼する。しかし、依頼を受けた木村と名乗る男は、小田その人だった……。

前世をキーワードに、心に悩みや問題を抱えた7人の若者達を描いたこの作品は、若い世代を中心に大きな反響を呼びDVD化され、その後も根強い再放送の声に 答える形で2006年7月にCSで再放送されました。
従来のわかりやすく誰もが楽しめるドラマとは、一味もふた味も違う、見る側に自身で考えることを暗に要求する内容は、見方によっては難解とも言え、 しかしそれが逆に嵌る人はとことん嵌る、という現象を生み出す結果になりました。

さて、京本さんは第七回「眩暈(めまい)」に前世で彼らを裏切ったとされるブラックを名乗る男・小泉役でゲスト出演されました。
黒いシルクハットに黒のロングコート、黒いシャツとパンツに黒い靴、そして黒のアタッシュケースとブラックの名にふさわしく(?)、頭のてっぺんから足の先まで 全てが黒尽くめ。颯爽とコンビナートの上にコートの裾をなびかせて立ち、コツコツと足音を響かせて階段を下りてくる姿はあまりにスタイリッシュで決まり過ぎ、な一方で 役柄にふさわしくとてつもなく怪しい。独特な歩き方は言うに及ばず、斜めに被ったシルクハットの下から僅かに見える唇の見せ方の絶妙さは必見です。
明らかに胡散臭い目で見つめる香美達を前に、涼しい顔でよくUFOを見ると言い放つ小泉。黒皮の手袋で開いたアタッシュケースの中には、超常現象やUFOと思しき 物体を撮った写真の山。本物か?と問われ、とうとうと前世でのつながりを説くも、香美が妻でアボは前妻等、とんだ女好きであることを 晒す失言により、弥生に「現実を見つめ直せ!」とどやされてあっけなく退散。
時間にして5分くらいの出演ですが、ストーリーにはあまり関係ないものの、インパクトの強さは大。 殆どノーメイクな上にどこか人を食ったような表情がなかなか味わい深く、緊張感漂う展開の中でゆるーい雰囲気を醸し出す貴重なシーンです。

しかし、前述したような理由から、この回だけを見ると、ストーリーはおろかドラマの内容がさっぱりわからないという事態に(苦笑)。
全編を見るのは少し骨が折れますが、もし機会があれば通して見ることをお薦めします。
7人の若者+南雲(=小田=木村)の言動から、同世代の若者はもちろん、悩める時期を過ぎた大人にも何か得るものがきっと見つかるはず……。

文:紫苑

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