俳優・シンガーソングライター京本政樹ファンサイト

朝日放送「必殺仕事人V」

1985年1月11日〜7月26日までテレビ朝日系で放送された連続時代劇ドラマ(全26回)

スタッフ

制作:山内久司
プロデューサー:辰野悦央、桜井洋三
撮影:藤原三郎、都築雅人、石原興、秋田秀雄
照明:中島利男、中山利夫、林利夫
音楽:平尾昌晃
主題歌:藤田絵美子『さよならさざんか』
挿入歌:京本政樹『哀しみ色の・・・』
ナレーター:中村梅之助 製作:朝日放送、松竹株式会社

キャスト

中村主水:藤田まこと
何でも屋の加代:鮎川いずみ
組紐屋の竜:京本政樹
花屋の政:村上弘明
西順之助:ひかる一平
筆頭同心田中熊五郎:山内としお
玉助:梅津栄
中村りつ:白木真理
中村せん:菅井きん
おりく:山田五十鈴
ほか

解説

新年にスペシャル版(必殺仕事人意外伝 大利根ウエスタン月夜)で初お目見えした、花屋の政と組紐屋の竜のコンビを加えた新たなシリーズ。
時代背景や設定などは、前シリーズからそのまま受け継がれ、秀・勇次のコンビから、政・竜という、20代の二人を参加させ、若返りを果たした。お陰で若い女性ファンも増えました。

この作品といえば、いわずと知れた感もあり、『組紐屋の竜』で京本さんのファンになったという人も多いと思います。



五色の紐を操る組紐職人、という設定だったらしいのですが、実際は、先に金の鈴のついた赤と黒の二色の紐で遠方より敵を狙い首を締め上げる、ニヒルでクールな殺し屋・竜。
非力そうに見えるのに力強く(何しろ大の男を2人も一気に持ち上げる)、繊細で線が細く捉え所の無い印象が神秘的で、その稀有な姿と相まって女性ファンを虜にしました。

抜擢された当初、映画『里見八犬伝』等で人気が出始め、その知名度もようやく全国区になりつつある過渡期であった事もあり、ご本人の思い入れも深く、設定
の随所に京本さん自ら工夫を凝らし、髷の形、着物、立ち姿、どれを取っても京本政樹にしかできない、まさに当たり役と言えます。

前シリーズの中条きよし氏演じる「三味線屋勇次」の流れを汲む役柄でありながら、差異化を図るため、勇次のシケを垂らしたカツラとは逆に前髪にこだわった
京本さん。(正式名称:政光結い。通称:京本カツラ)ご丁寧にメッシュまで入れるこだわりぶりには、さすがの一言しかもう出ません。

着物にもそのこだわりぶりが遺憾なく発揮され、中条氏が濃い紫の着物を多用していたためか、赤と黒の着物に黄色い帯(通称:金魚ちゃん(ご本人命名))
等、江戸時代には製作不可能で裏の仕事には派手過ぎて不向きと思われる着物ばかりを多用した挙句、なんの違和感も無く着こなすという荒技を披露し、毎回ど
んな衣装を着て出てくるのか本当に楽しみでした。(市中で着ている着物も含む)

様式美化された殺しに至るまでの出陣のシーンも、京本さんならではで、白装束で紅をさすとか、たたんである着物をいっきに羽織るとか、もうたまらんとしか
言いようの無いお姿を見せてくださり、必殺スタッフのサービス精神の豊かさに、ありがた過ぎて拝みたくなるほどでした。(今見てもたまらん)

途中、映画の撮影で京本さんが怪我をしたため17話あたりから出番が極端に減りますが、怪我を逆手にとって「組紐屋の竜、右足を傷める」なんて回まで作っ
てしまう所は、さすが必殺。このシリーズでは他にも、鮎川いずみさんが首を痛めたりと怪我が多かったのですが、鮎川さんも首にコルセットを着けて出演して
いました(大八車とぶつかった事になっていた)。アメリカ辺りだと、組合が黙ってない状況だと思われますので、結構過酷な職場かもしれません。

必見の回も随所にありますが、特にお勧めなのが「組紐屋の竜、忍者と闘う」抜け忍だった竜が、昔の仲間から狙われるお話ですが、謎が多かった竜の過去が明かされるお話は、当時とても嬉しかった記憶があります。

TVシリーズの枠の中だけで完結させるには勿体ないような内容で、スペシャルでやっても良かったのではないかと思われるほど程、中身が濃く、ラストの大掛かりな殺しのシーンも、シリーズ最高ランクの出来映えでした。

語りだせばキリの無いほど思い入れも思い出も深い作品ではありますが、最後に。

挿入歌の「哀しみ色の・・・」も凄くいいのですが、B面の「闇の道」も忘れ難い曲で、本来、主題歌になるはずだったのに、京本さんがコブシをきかせ過ぎためボツになったという逸話もあるほどの、渾身の歌い上げは一聴の価値アリです。

文、絵:竜歌

Pagetop