俳優・シンガーソングライター京本政樹ファンサイト

「殺し屋PAZUZU」

2000年5月21日に製作されたVシネマ

スタッフ

監督:渡辺武
脚本:辻裕之、渡辺武

キャスト

富樫:松方弘樹
門脇:名高達男
南雲恵子:高橋かおり
南雲健作:石立鉄男
田野倉:京本政樹(友情出演)
ほか

あらすじ

片田舎の海沿いで小さなレストランを営んでいる富樫(松方弘樹)は、かつてパズズ——カトリックの聖書に登場する悪霊——の名で恐れられた殺し屋だったが、今はしがない 飲食店のオーナー。友人の保証人となったが為に借金の取立てに追われながらもたまに来る客の相手をし、休日には好きな釣りを楽しむ悠々自適な日々を送っていた。
ある日、客として店に来ていた地元の暴力団幹部・門脇(名高達男)の窮地を偶然救ったことから、門脇に命の恩人として慕われるようになる。
同じ夜、見知らぬ若い女性が富樫の元を訪ねてくる。富樫がパズズであることを知っているその女性は、かつて富樫がパートナーを組んでいた南雲健作(石立鉄男)の娘・恵子だった。 2人は10年前の11月、地元選出の代議士である新倉殺しに失敗。富樫を逃がす為、南雲は命を落とし、その時のしこりを未だに引き摺っていた。恵子は父の復讐として富樫に5000万円で新倉殺しを依頼。 「個人的感情による仕事は失敗する」と最初は渋る富樫だったが、結局は新倉殺害を受諾。恵子とともに作戦を練る。

門脇との付き合いから彼の組織が新倉のボディーガードを務めていることを知った富樫は、恵子を潜入させ新倉の動向を探る。
程なくして、県知事選挙に絡んで新倉が応援演説に金沢に来ることを突き止める。門脇達の隙を突き、見事狙撃に成功。恵子とともにその場から逃走した富樫の前に 門脇が再び現れ……。

解説

松方さん主演・製作の本作は、松方さんの幅広い交遊や人柄を反映してか、Vシネマ作品ながら島田紳助、桂ざこばの吉本興業の大物芸人や親友・梅宮達夫氏を始めとするベテラン俳優がズラリ。 ちょっとした端役に意外な人が扮しており、ストーリー以外でも楽しませてくれます。

この作品で京本さんが演じたのは、門脇の一の子分(?)であり恋人でもある田野倉。喧嘩っ早く、ちょっとしたことですぐキレたり拗ねたりする割に、肝心の腕っ節の方はさほど強く なく。 新倉を狙う富樫を目ざとく見つけ、勇んで凄んだまではよかったものの、パズズを追う謎の中国人にあっけなくやられてしまうという。あまりのあっけなさに「ちょっと待て! いくらなんでも情けなさすぎ。もうちょっとジタバタ粘ってよ〜」と言いたくなるほど。
この作品に限らず京本さんが役の上で殺られる場合、あっさり逝かれることが多いので、その辺は仕方がない&それだけ田野倉が意外と弱いということを言いたかったのかな、と 納得しましょう。
それでも、関西弁で思いっきりドスを利かせる姿や、冒頭から門脇にプレゼントされたネックレスを愛おしそうに弄ぶシーンなど、なかなか普段は見られないような姿が 見られるのが嬉しい限り。
また、門脇に発見された折に見せる、見事なまでの死体っぷりも見ものです。
京本さんではないですが、門脇が薄暗いバーで田野倉の死を悼むシーンは、何とも言えない切なさと哀愁が漂ういいシーンです。

ところで、この作品は大部分が金沢を中心とした石川県及び福井県でロケが行われました。富樫が営むレストラン『トガシ』は、福井県坂井郡三国町(現在は坂井市三国町)にある喫茶アメリカン を貸し切って撮影、あのレトロな内装は今でも現地で体験することができます。
金沢はドラマや映画、時代劇等、意外と撮影に使われる街ですが、超有名観光地を除けば、地元民でも「ここってどこ?」というような穴場でのロケが多いのですが、今回の作品は 尾山神社や金沢駅西口、といった市民なら一目見てすぐわかる場所が使われているのが逆に新鮮です。
もちろん、それ故「西口広場なんて人目につくところに、あんな見るからに怪しそうな一団がたむろしていたら、何かする前におまわりさんが飛んでくるよ!」「時計駐車場から狙撃ってゴルゴ13でも無理だよ!」 等突込みどころ満載ですが(^^ゞ。
ちなみに田野倉が亡くなったのは駅西口にある、時計駐車場という当時出来たばかりの駐車場です。第二回日本ベストパーキング賞という、ありがたいのかよくわからない賞を受賞しており、お得な利用料金と 立地条件で市内でも有数の利用率を誇る駐車場です。
この作品を初鑑賞後、まさかこんなところであんな死に方をされるとは夢にも思っていなかったため、申し訳なさと嬉しさで実地検証に行ったのは言うまでもありません(ぽりぽり)。
現在は、諸事情により外側に幕が張られているため、開発著しい駅周辺と合わせて当時の姿を伝えてくれる貴重な 映像です。

すっかりローカルネタに走りましたが、Vシネ特有のバイオレンスさはあるものの、全体的には見やすく登場人物達のその後を 思わず想像してしまうような、どこかほのぼのとした余韻が残る不思議な作品です。
それにしても、あの謎の中国人は一体何だったんだろう……?

文:紫苑

殺し屋PAZUZU [DVD]

  • 販売元:株式会社GPミュージアムソフト( 2004-04-25 )
  • 時間:79 分
  • 1 枚組 ( DVD )

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