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テレビ朝日 新春時代劇スペシャル「東海道の暴れん坊 次郎長三国志」

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1988年1月3日にテレビ朝日で放送された新春時代劇スペシャル

スタッフ

監督:松尾昭典
製作:東映

キャスト

清水次郎長:高橋英樹
森の石松:仲村トオル
お蝶:浅野ゆう子
二代目お蝶:坂口良子
大政:梅宮辰夫
関東綱五郎:京本政樹
追分三五郎:柳沢慎吾
法院大五郎:桂朝丸
増川仙右衛門:木村一八
小政:川野太郎
吉良の仁吉:五木ひろし
黒駒の勝蔵:中村嘉葎雄
山岡鉄舟:松方弘樹

解説

人情もろくて義理堅い。言葉は汚いが心は綺麗、その魅力溢れる人柄に惹かれ集まった個性的な子分たちとともに、幕末の動乱期を腕と度胸でもって清水の一介の悪ガキからのし上がり、後には実業家として多くの功績を残し今尚、多くの人々に慕われる「次郎長さん」。
浪曲や講談を始め、過去何度も映像化された日本で最も有名な渡世人・次郎長親分の半生を描いた新春大型時代劇スペシャル。
村上元三氏著「次郎長三国志」をベースに、丁寧な作りとテンポのよい展開で、次郎長や子分にまつわる様々なエピソードを、各人の魅力たっぷりに時に面白おかしく、時にはしんみりと描いた娯楽時代劇の傑作です。
次郎長役の高橋英樹さんを筆頭に梅宮辰夫、仲村トオル、中条きよし、浅野ゆう子、桜木健一、坂口良子ら若手からベテランまで何とも豪華な顔触れが揃った今 作は、時代劇初心者が多い若手の初々しい演技とベテランの味のある演技ががっちり噛みあい、140分という長丁場を飽きることなく楽しめます。
特に劇中何度も登場する、喧嘩(出入り)のシーンでは、各人それぞれの持ち味を生かした大立ち回りが満載。また意外なところでは、吉良の仁吉役で出演され た五木ひろしさんが、義理人情に厚く争いを好まず、親友と義兄との間で苦悩する親分役を好演。後半のクライマックス・荒神山における黒駒の勝蔵一家との闘 いでは、役者顔負けの見事な立ち回りを披露されており、こちらも隠れた見どころです。

この作品で京本さんが演じたのは、子分の1人・関東綱五郎。
旅の途中で出会った黒目の五丁徳からの喧嘩の使いで来た折、次郎長が自分を斬らずに帰したことに意気を感じ、桶屋の鬼吉に続き、 2人目のおしかけ子分となる綱五郎。ややお調子モノ的なところがあるものの、見かけによらず冷静で意外と頭が回る面も持つ愛すべき存在。
見どころの前に今回特筆すべき点がひとつ。それは、出番が多いこと!これだけの人数が揃う作品にあって、最初から最後までほぼ出ずっぱり。これはファンにとって何より嬉しいです。

さて、今回数ある見どころの中で何と言ってもお薦めはやはりココ。冒頭、喧嘩の使いに次郎長を訪ねた綱五郎が、次郎長、大熊を前に口上を述べるシーン。
三度笠に旅姿で歩く姿も粋に、颯爽と現れた綱五郎。片手をスッと差し出し、「おひけぇなすって……」と気合の入った表情で威勢良く仁義を切る姿が本当に カッコイイ!子分となってからは月代姿の綱五郎ですが、このシーンのみ前髪がある点も見逃せません。

以前、トーク番組に出演された際、撮影中に起きたあわや火事!?という事態にもめげずに頑張られた話を披露されていましたが。もうひとつ、不名誉だけどちょっと微笑ましいエピソードを。
上に挙げた冒頭のシーンで仁義を切り終えた綱五郎は、当初
「お見上げしました。清水の次郎長さんは立派な親分さんだ…中略…では、今夜、白刃の下でお目にかかりますんでござんす!」
という台詞で立ち去る予定でした。が、本番直前になって急遽その後に「ごめんなすって」という一言が付け加えられることに。 実はその前の部分にも大幅な台詞の変更があり、その時は完璧にこなしていた京本さんでしたが・・・。
まずは1回目。ガチンコが鳴った途端、付け加えられた台詞を度忘れしてしまいNG。台詞を再確認し、何度も口の中で繰り返しつつ気を取り直して臨んだ2回目。
「……今夜、白刃の下でお目にかかりますんでござんす。ごめんくださいませ」
とやってしまい、思わず噴き出した高橋さんと中条さんに
「京本君、それじゃあ若旦那になっちゃうよ」「育ちのいい渡世人だなぁ…」と冷やかされてしまったのでした。
日頃台詞憶えの良さには定評のある京本さんの何とも可愛らしいNGに、思わず笑いつつも、現場での急な変更に対応する大変さ・苦労がしのばれます。

着物の裾を短くはしょり、手甲脚絆姿で元気いっぱい画面狭しと駆けずり回る綱五郎。いなせな口調で軽口を叩き、取っ組み合いの喧嘩をしたり、かと思えば出 向いた先でかっとなった仲間を諌める冷静さも持ち合わせていたり。また、お蝶(浅野ゆう子)の死に際しての泣きの演技は、口調から眉の動かし方に至るま で、細かな演技に唸ること請け合いです。更に鬼吉役の桜木健一さんとの息もピッタリ、な軽妙なやりとりは全体的にカラッと明るく元気な この作品においても一際威勢がよく、安心して楽しめる場面です。 もちろん、立ち回りの切れのよさ・カッコよさは言うまでもありません。
竜や翔に代表される妖艶・寡黙な役どころとはひと味もふた味も違う、爽やかな男気溢れる綱五郎を若さ一杯、力強く熱演する京本さん。こちらも密かにはまり役だと思うのは、きっと私だけではないはず。

文:紫苑

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