俳優・シンガーソングライター京本政樹ファンサイト

松竹「必殺!ブラウン館の怪物たち」

このエントリーをはてなブックマークに追加
秀・勇次コンビの大ブレイクと必殺!シリーズ放送600回を記念して製作され、仕事人シリーズ初の映画となった『必殺!』に続く映画化第二弾。
今回は仕事人シリーズの中でも、最もバラエティー色の濃いVの持ち味そのままに、松竹創業90周年、朝日放送設立35周年記念の看板の下、吉本興業の大スターを始めとする豪華ゲストをフルに活かし、主水たち仕事人が 怪しげな西洋屋敷で大暴れする姿を描いた、非常に娯楽度の高い楽しい作品になりました。

時は幕末、病に倒れた家茂の跡を継ぎ第十五代将軍・徳川慶喜が就任した頃。江戸・品川宿で大坂へと 密書を携えて向かう使者の警護を担当していた、中村主水ら南町奉行所の面々は、豪雨の中突如現れた何者かに 使者を殺され、密書を奪われてしまう。単身追いかけた主水は、下手人が今度は忍びと思われる者に 密書を奪われれるのを目撃。
同じ頃、政、加代、竜、順之助もそれぞれ襲われ、おりくのもとに逃げ込む羽目に陥る。「主水はどこだ?」 密書を奪ったのは主水だと思い込んだ、猿谷町の元締め率いる仕事人達と闘う政、竜、おりく達。
何とか逃げ延びた彼らは、それぞれ行方をくらました主水を追い、京へと向かう。
一方、主水は老中稲葉(平幹二郎)より上司の田中とともに、密書を取り戻す任を命じられ、京都・黒谷屋敷へと向かうことになる。
実は、黒谷屋敷は、帝を擁立しようとする敵に備え、帝もろとも御所を爆破するため、幕府が密かに施した仕掛けがあり、 密書の中身とは、その黒谷屋敷の権利書と絵図だった。

黒谷屋敷を巡る、京の仕事人一味と武器商人・ブラウン一派、新撰組の争いに巻き込まれていく主水たち。最初は難色を示していた主水も、 非道極まりないブラウンのやり方に仕事を受ける決意を固め、仲間とともに遂にブラウン館に乗り込む!?

のっけから仕事人仲間に狙われ、豪雨と稲光をバックに華麗な仕事のシーンで幕を開ける、という映画ならではの豪華な作りが満載の本作。
破天荒なストーリーだけでなく、キャストも映画ならではの豪華さが満載。
一部で必殺+吉本と評されたとおり、新撰組副長・土方歳三に西川のりお、剣の天才と謳われた薄幸の美剣士・沖田総司に明石家さんま、 という、掟破りの配役を皮切りに、京の元締め(実体は何と公家)・丑寅に笑福亭鶴瓶、 老中の密命を受け密書を狙う御公儀隠密に、森田健作、柏原芳恵。個性的すぎる黒谷屋敷の人々には、沖田浩之、兵頭ゆき、塩沢とき、高田純次等々強力な 個性が光るメンバーがズラリ。
他に前作に引き続きお葉役で登場の中井貴恵、ケント・ギルバート、時代劇の悪役といえばこの人!な金田龍之助ら今となっては懐かしい名前も。


全編コメディータッチで、お馴染みの中村家の今回は出張コントや、「インディージョーンズ」「蒲田行進曲」など当時大ヒットした映画のパロなど これでもか!というくらい楽しませる、ということに徹した作りはお見事。
お笑い部分に埋もれがちですが、もちろん必殺らしいシビアでハードな 面も忘れてはいません。
個人的に印象深いのは、ブラウン館での仕事を前に「坊、おめぇいくつになった」と順之助を諭しながら、 仕事人の何たるかを説くシーン。
”銭を貰って仕事をするから仕事人なんだ。(己の私情で動けば)ただの人殺しになってしまう”という主水の台詞に ハッとするとともに、普段は玉助やお新に振り回されてばかりの順之助が、初めて主水に一人前の 仕事人として認められた姿に胸が熱くなります。
また、中盤での黒谷屋敷での闘いでは、ずっと信じて守っていたモノに何の効力もない、と知り呆然とした思いのまま落ちていく黒谷屋敷の人々の姿が何ともやるせなく、 思わずじーんときてしまいます。

さて、この映画における京本さんの見どころは、というと登場するシーン全て、と言ってしまうくらい、 どれもお薦めですが、やはりテレビ以上に照明に工夫を凝らした”仕事”シーン、これに尽きます。
特に、クライマックスのブラウン館での特撮をふんだんに使った仕事シーンは必見。
スクリーンを所狭しと文字通り、走り、跳び、泳ぎ、華麗に舞う仕事人達の姿を様々なアングルと、 絶妙なライティングでたっぷり見せてくれます。

この映画の撮影中、右足かかとを陥没骨折する大怪我を負った京本さん。 幸い撮影の大半は済んでいたものの、残りの部分は怪我を押しての出演と なりました。当時のワイドショーで、椅子に座ったまま上半身のみを 撮影する様子が流れていましたが、シーンによっては極端に顔色が 悪い部分も見受けられ、想像を絶する苦労がしのばれます。
しかし、転んでもタダではおきない京本さんらしく、 当時番宣などで「(怪我で動きが取れない分)アップが増えた」と明るく話していたとおり、 特にクライマックスから終わりにかけて、かなりの確率でアップが見られます。
それに加え、仲間のピンチを心配そうに見守ったかと思えば、難なく敵を仕留める姿にほっと笑みを漏らしたり、 とクールで無口というイメージを覆す、かなり人間味溢れる姿も見せてます。 中盤では、煮え切らない主水に食ってかかったり、1人主水と抜け駆けしようとした 加代を懲らしめたり、となかなか熱い面も覗かせてくれるのも嬉しい限り。
もちろん、 もうひとつのお楽しみ。艶やかな衣装も、テレビでお馴染みのモノに加え、銀と紫のグラデーションを 施した表地に真っ赤な裏地、とたっぷり魅せてくれています。
また、動けない代わりではないですが、更に磨きがかかった上半身の動きも 見逃せません。ここしかない、というポイントを上手く使った手の動きの見事さには脱帽、もう惚れ惚れとしてしまいます。 効果音がなくても、その仕草だけであのシュッという、空を切る乾いた音が聞こえてきそうです。
更に威力を増した目力と合せて、これほどキレ味鋭い組紐捌きなら、2人乗りの自転車だって余裕で吊り上げられるかも!?、と 思わず納得 させられます。

その独特な色から、不謹慎だ、ふざけすぎると硬派な必殺!ファンからは不評を買うことが 多い本作品。しかし、笑いの中にも必殺!ならではの光と影の贅を尽くした見事な映像の数々を 盛り込み、必殺!らしい部分もしっかり収めたこと。そして、これだけの数の出演者全てに それぞれ見どころを与えた点など。それなりに評価されるべき部分も沢山あります。

笑いは元気の源、というとおりゲラゲラ笑ったり、時にはしんみりしながら、登場人物たちのパワーにも押され、 見終わった後何だか不思議な力が沸いてきます。
いつまでも胸の奥にしまって おきたい美しくてカッコ良すぎる竜さんと懐かしい仕事人達に会いに、時々無性に見たくなってしまう、 とても大事な1本です。

Pagetop