俳優・シンガーソングライター京本政樹ファンサイト

NHK大河ドラマ「武蔵 MUSASHI」

2003年1月5日〜12月7日に放送されたNHK大河ドラマの第40回「信じる心」

スタッフ

製作総指揮:一井久司 他
演出:尾崎充信 他
原作:吉川英治
脚本:鎌田敏夫
音楽:エンニオ・モリコーネ

キャスト

宮本武蔵:市川新之助
お通:米倉涼子

解説

戦国の動乱期から江戸初期にかけて、剣豪としてその名を全国に轟かせた聖剣・宮本武蔵の62年の生涯を描いた、NHKの第43作目の大河ドラマ。
吉川英治氏の名作「宮本武蔵」をベースに、脚本家に鎌田敏夫氏を起用したこの作品では、 主役である武蔵とお通に市川新之助と米倉涼子。武蔵最大のライバル・佐々木小次郎に松岡昌宏、と時代劇初出演の面々を抜擢。 レギュラーメンバーの他に、ビートたけし、宮沢りえ、広末涼子らを皮切りに、1年を通じ毎回のように多彩なゲストが次々と登場するという 近年にない豪華な出演者が話題となりました。
また、 原作はもちろんそれまでの「宮本武蔵」を題材にした映像作品では、 描かれたことのない”巌流島の決戦”以降の武蔵を描き、数々の史実を覆した斬新なストーリー展開とともに賛否両論を巻き起こしました。

デビュー当時に『草燃える』に出演以来、その後は娯楽時代劇作品への出演が多かった京本さん。それまで演じた役柄の印象からか、とある会合で「京本さんて、大河ドラマに興味がない人だと思ってました」 なんて言われてしまったことがきっかけで、急遽出演が決まりました。

さて、そんな笑い話のようなエピソードで『毛利元就』以来、実に7年ぶりの大河出演となったこの作品で京本さんが演じたのは、 明石掃部頭全登(あかしかもんのかみぜんとう 注:名前に読みに関しては、てるずみという説もあり断定は出来ません)。
父の代から宇喜多家の重臣として秀家に仕え、武闘派としても知られる一方で、ジョバンニ・ジュストという洗礼名を持つキリシタン武将。

上に挙げたように、とにかく多くの出演者が入り乱れたこの作品で、京本さんが登場したのは第40回「信じる心」。
大阪・冬の陣を前に、豊臣方の使者として真田幸村(中村雅俊)の下を訪ねるシーンでの登場となりました。

いつもよりやや黒めのメイクに前髪のあるポニーテール姿の明石ジョアン。
抑えた声音や落ち着き払った仕草、どっしりとした座り方に、戦国の動乱期を生き抜いてきた したたかさが窺えます。全体的に大人の雰囲気が漂う中、時折上目遣いに幸村を見上げる 視線に、内に秘めたギラギラとした闘志が感じられます。
更に、持参金を差し出す際や、「実は私も…」と胸元からすっとキリシタンの証である十字架を 取り出す時の、指先の美しさにも注目です。
残念ながら出番は5分にも満たない短さですが、台詞回しから立ち居振る舞い、そして短いやりとりの間、ぴーんと張り詰めた空気がずっと2人を 包み込む様は、時代劇役者・京本ここにあり、を見せ付けるに充分。

また、京本さんとは無関係ですが、ドラマ後半の大阪城でイエズス会の信者が西洋音楽を奏でる会を開いたくだりでは、 一般にはあまり馴染みのない、本物の古楽器の演奏がお茶の間に流れた貴重なシーンとなりました。

これまでとはひと味もふた味も違った、大人の魅力に溢れた明石ジョアン。当初は複数回登場の話もあったのが、物語の流れから結局この回のみの登場となったのが本当に惜しまれます。

文:紫苑

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