俳優・シンガーソングライター京本政樹ファンサイト

NHK金曜時代劇「宝引の辰捕り物帖」

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1995年3月31日〜8月18日NHK金曜時代劇で放送された時代劇(全21話)の第2話 原作:泡坂妻夫

キャスト

宝引の辰:小林薫
お柳:萬田久子
男十郎:石倉三郎
能坂要:渡辺いっけい
無何有:京本政樹

解説

小林 薫さん扮する岡っ引き・“宝引の辰”が同心・能坂要(渡辺いっけい)の下で御用を務めながら、様々な事件を解決していく活躍を描いたシリーズ。原作は泡坂妻夫氏による初めての時代小説シリーズ「宝引の辰捕者帳」です。
タイトルにもある“宝引の辰”とは、主人公・辰が若い頃には飾り障子の組子の職人をしていたため手先が器用で、今では御用のかたわら宝引(福引きのようなもの)の道具を作っていることからその呼び名がついたものです。

京本さんは第二回「雪の大菊」にゲスト主役として出演されました。
近頃江戸に頻発する盗賊・雪の九郎兵衛一味による押し込み強盗。凶行の際には常に陰間茶屋の男の存在があり、陰間と逢引するために家の裏木戸を開けた隙に、一味が押し入り蔵を開けさせるという手の込んだもの。「女心を利用した許しがたい奴」と憤る辰。
そんな時、夜回りに出た辰は若い男女が舟で心中しようとしている現場に出くわす。と同時に九郎兵衛を見つけ、追いかけるが舟で逃げられる。その夜も押し込みが発生していたが、押し込まれた問屋の娘がその心中を図っていた娘だった。どうやら心中の相手も賊の一味で娘をそそのかし、家を空けさせた隙に侵入するという算段だったのだ。けれど、今にも心中という時に突然あがった花火のため、憑き物が落ちた娘が我に返り一命を取り留めることとなった。
果たしてこれは偶然なのか?冬の夜の花火に不審を抱いた辰が調べると、そこに1人の陰間の存在が……。

このドラマで京本さんが演じたのは、美形の陰間・無何有。事件の鍵を握ると見られる存在です。
その美貌で茶屋一番の売れっ子ながら、常にどこか憂いを含んだ表情で翳りのある無何有。これが京本さん本来の持つ魅力に見事に嵌り、何とも見応えのある仕上がりになっています。
当時既に30代後半に差し掛かっていた京本さんですが、その年齢を感じさせない美しさは流石です。薄紫の着流しを纏い、陰間特有のメイクを施した姿は思わずため息が出てしまうほど。
劇中、茶屋まで探りに来た辰の妻・お柳(萬田久子)に自身の身の上を語るくだりで「なまじ顔がよかっただけに…」という台詞があるのですが、普通なら嫌味に聞こえるその言葉も、あのお姿を見せられてはこれ以上ない説得力を持って頷くしかありません。

また、事件の一方でサイドストーリー的に展開した、男十郎親分と呆けかけた母親の関係が、辰と父親(小林桂樹)及び視聴者に「老い」とは何かということを考えさせ、こちらも密かな見どころでした。

役柄上、この回のみの登場でしたが、出来ることならもう1度登場してほしかった、それくらい魅力的な陰間・無何有でした(^-^)。

文:紫苑

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